草刈りの季節になると、お客さんからよく聞かれるのが「刃、どれを選べばいいの?」という質問です。
刈払機(草刈機)の刃は、大きく分けるとチップソーとナイロンコードの2種類。どちらを選ぶかで、仕上がりも作業のラクさも、そして安全性もぜんぜん違ってきます。農機具屋の事務員として、整備士さんに教えてもらったことを、はじめての方にもわかるようにまとめました。
▌ この記事でわかること
- チップソーとナイロンコード、それぞれの特徴と向き不向き
- チップソーの「刃数」、ナイロンコードの「太さ・形状」の選び方
- 刃の取り付け・交換で気をつけること
- 交換のタイミングと、よくある質問
刈払機の刃は大きく2種類
まずは全体像から。刈払機の刃は、金属の刃(その代表がチップソー)と、やわらかいひもで刈るナイロンコードに分かれます。それぞれ得意なことが違うので、順番に見ていきましょう。
チップソーとは?
金属製の円盤に、小さな超硬チップ(刃)がついた定番タイプです。高速回転しながら草を刈り取ります。草だけでなく細い雑木や竹も切れるパワーがあり、農家さんに最もよく使われています。
▌ チップソーのメリット
- 硬い草・雑木・竹にも対応できる
- 広い面積をスピーディーに刈れる
- 1枚あたりのコストがナイロンより安め
▌ チップソーの注意点
- 石に当たるとチップ(刃)が飛ぶことがある
- 建物や塀に当たると傷つける可能性がある
- 保護具(フェイスシールド・すね当て)が必須
チップソーの選び方|「刃数」と「外径」を見る
チップソーを買うとき、パッケージに「230mm 36P」のような表記があります。これは外径(刃の直径)と刃数(チップの数)を表しています。
▌ 刃数による違い(目安)
- 刃数が少ない(30P前後)=1枚ずつのチップが大きく、硬い草や雑木に強い。切れ味が長持ちしやすい
- 刃数が多い(40P以上)=仕上がりがきれいで振動が少ない。やわらかい草向き
- 迷ったら、農地の畦草には 230mm/36P前後 が万能で扱いやすい
外径は機種ごとに「使える上限」が決まっています。大きすぎる刃は危険なので、必ず取扱説明書か農機具屋で確認してください。
🔧 整備士さんのひとこと
「とりあえず安いから」と刃数だけで選ぶ人が多いけど、刈る場所に合ってないと疲れるし危ない。畦なら36P、雑木混じりなら刃数少なめ、って覚えておくといいよ。
ナイロンコードとは?
プラスチック製のひも(コード)が高速回転して草を切るタイプです。チップソーと大きく違うのは、コード自体がやわらかい素材という点。そのため、フェンスや外壁、花壇のブロックなど「際(きわ)」に当たっても傷をつけにくいのが最大の特長です。
▌ ナイロンコードのメリット
- 建物・フェンス・ブロック塀の際の草刈りに最適
- 石に当たっても刃が飛ぶリスクがない
- 操作が比較的ラク(力の入れ方に慣れが不要)
▌ ナイロンコードの注意点
- 硬い草や木の根は苦手(切れない)
- コードが消耗するたびに補充・交換が必要
- 広い面積には時間がかかる
- 小石や砂が飛びやすいので保護メガネは必須
ナイロンコードの選び方|「太さ」と「形状」
ナイロンコードにも種類があります。選ぶポイントは太さ(mm)と断面の形状です。
▌ 太さの目安
- 2.0〜2.4mm=やわらかい草・狭い場所向き。家庭の庭まわりに
- 2.6〜3.0mm=畦や少し硬めの草も。農家さんはこのあたりが定番
▌ 形状の違い
- 丸型=消耗が少なく長持ち。やわらかい草向き
- 四角・星型(ギザギザ)=切れ味が鋭く、硬めの草も刈れる。その分やや消耗が早い
- ねじり型=風切り音が静かで振動が少ない
その他の刃(金属刃・笹刈刃)
チップソーとナイロンが二大主役ですが、ほかにもあります。笹刈刃(ささかりば)は、笹や太い茎の刈り込みに使う金属刃。金属8枚刃・2枚刃などもありますが、跳ね返り(キックバック)が起きやすく扱いが難しいため、慣れていない方はチップソーが安全です。
どちらを選べばいい?シーン別まとめ
▌ 刃の使い分け早見表
- 🌾 農地・畦(あぜ)の広い草刈り → チップソー
- 🏠 建物・フェンス・ブロック塀の際 → ナイロンコード
- 🪨 石が多い場所 → ナイロンコード
- 🌿 細い雑木・竹も混じっている → チップソー
- 🌱 やわらかい草・仕上げ重視 → 刃数多めのチップソー or 丸型ナイロン
農家さんで一番多いのはチップソー。畦の草刈りに使う方がほとんどです。ただ、建物まわりや花壇の縁はナイロンコードに切り替えている方も多いです。整備士さんいわく「両方持っておくのが理想」。広い場所はチップソー、建物の近くはナイロン、と使い分けるのがいちばんラクで安全です。
👉 場面ごとの具体的な使い分けは、刈払機の刃、現場ではこう使い分ける|畦・建物まわり・石場の実例でくわしく紹介しています。
刃の取り付け・交換で気をつけること
▌ 取り付け時のチェック
- 必ずエンジンを止め、プラグキャップを外してから作業する
- 刃の回転方向(表裏)を間違えない。文字や絵が上にくる向きが基本
- ナットはしっかり締める(ゆるみは刃が飛ぶ原因に)
- 取り付け後、軽く手で回してガタつきがないか確認する
「自分でやるのが不安…」という方は、無理せず農機具屋に持ち込んでください。機種によって取り付けられる刃の規格(穴の大きさ・外径)が違うので、型番を確認してもらうのが確実です。
チップソーの交換タイミング
チップソーは消耗品です。使い続けると刃先が摩耗してきます。次のサインが出たら交換どきです。
▌ こんなサインが出たら交換
- チップ(小さな刃)が欠けている・丸くなっている
- 以前より草の切れが悪くなった気がする
- エンジンの回転が重く感じる
無理に使い続けると刈り残しが増えるだけでなく、エンジンへの負担にもなります。切れ味が落ちてきたと感じたら、早めに替えるのがおすすめです。
よくある質問
▌ Q&A
- Q. チップソーは研いで使える?
A. 超硬チップは家庭では研ぎにくく、欠けたら交換が基本です。コストも安いので買い替えが現実的です。 - Q. ナイロンコードはどのくらいで補充する?
A. 使い方しだいですが、際の草刈りを続けると意外と早く減ります。予備を一巻き持っておくと安心です。 - Q. 同じ刈払機でチップソーとナイロンを付け替えられる?
A. 多くの機種で可能ですが、対応の可否は機種によります。心配なら型番を農機具屋で確認を。
📝 まとめ
- チップソー=パワー重視・広い場所向き。刃数は畦なら36P前後が万能
- ナイロンコード=やわらかい素材で建物や塀の際を傷つけにくい。太さは2.6mm前後が定番
- 迷ったらまずチップソー、建物まわりはナイロンを追加
- 取り付けは回転方向とナットの締めに注意。不安なら持ち込みを
- チップが欠けたり丸くなったら早めに交換

刃の種類や交換のご相談は、農機具屋に持ち込むのが一番確実です。機種によって取り付けられる刃の規格も違うので、型番を確認してもらうのがおすすめです。大場農機でもお気軽にご相談ください。
チップソーとナイロンコード、それぞれに向き不向きがあるのだと知り、勉強になりました。私もまだまだ事務見習いですが、どちらが合うか迷ったら遠慮なく聞いてください。

